介護1年目の職員からの質問で「なんでこの仕事は給料が安いんですか?」と素朴な質問を受けました。
あまり考えないようにしている僕に対して、嫌な気持ちを思い出させてくれる新鮮で素朴な疑問。
そんな質問でも、しっかり答えていきますよ。
なぜ給料が安いと言われているかを知っておかないと、いつまでも低賃金だと悲観的になり精神的に疲れてしまいます。
また、給料が安いと考えながら働いていてもパフォーマンスも低下しますので、やっぱりそれなりの給料をもらいたいですよね?
なので今回は給料を上げる方法もご紹介していきますね。
介護士の給料が上がらない理由
- 施設形態だと、天井が決まっている為、売り上げが決まってしまう
- 介護保険という枠組みでの制限
- 国が介護の仕事について、家族でもできると認識している
- 職員意識の低さ
介護施設は儲からない
介護施設は大きな建物を建て、100人前後の利用者がおられ、すごく儲かっているイメージを持たれますが、実はそうでもないんです。
まず、建物を建てるための資本金があり、それを回収するために何年も返済している状況です。
借金スタートということですね。
テナント型であっても、毎月家賃がかかります。
更に
挙げればきりがないですが、固定出費が多いのです。
売り上げを出せば、月々の黒字化はできると考えて事業計画を立てていますが、借金スタートと考えると、本当の黒字化っていつの話やら・・・
介護事業は利益が上がらない
100人対象の施設では101人目の利用ができないんですよね。
当たり前ですが・・・
施設や事業所に人気が出たとしても、定員を超えた方は待っていただくかお断りするしかないんです。
ケアマネジャーの事業なんて、1件の利用者さんの介護サービス計画を立てて平均して月12,000円程度の報酬でしかありません。
ケアマネも基本的に45名と天井がありますし、それ以上受けると報酬が下がるシステムです。
定員いっぱい受け持っても、約50万円程度の売り上げです。
ほぼほぼ人件費で消えますよね
介護保険という制限
介護保険法の導入があり、保険加入者や後期高齢者は1~3割でサービスが受けられる仕組みが生まれました。
これにより、全国での保険点数が決まっています。
たとえば、デイサービスに1回行ったら〇〇円と基本的に決まってしまいます。
通常のビジネスだと、
うちのデイサービスは多くのサービスを提供していて価値が高いから、1回1万円です。
みたいな強気な売り込みはできません。
なので、だいたいサービス費は同じような金額になります。
保険導入前は、独自で金額設定できたのですが、そうなるとお金持ちはお金を支払うことで優先してサービスを受けられる状況が生まれてしまったので、平等性に欠けていました。
平等性を考えられた結果、介護保険は生まれましたが、同時に介護士の給料を思うように上げられないシステムが構築されたといっても過言ではありません。
国が介護の仕事は誰でもできると考えている
一昔前までは、介護は家族がするものでした。
介護士の仕事は特別な資格がなくてもできる仕事です。
もちろん家族でされていることも多いです。
現在の介護保険の流れや、進められている施策をみていると、在宅介護に力が注がれているのがわかります。
要するに、施設利用を勧めておらず、自宅でできる介護を推奨しているのです。
なんでですか?
答えは簡単です。施設介護はサービス費が高いのです。
サービス費が高いということは、その負担を税金で補わないといけないのです。
介護士以上に国がお金を持っていないので、負担が大きいのでしょう。
なので、できるだけお金をかけないように、できる範囲は家族に頑張ってもらって、残りを介護サービスで補うというのが理想と考えています。
施設利用だと月に約20~30万程度、税金で負担されています。
介護の報酬を上げるとなると、国の負担も大きくなるので、なかなか報酬は上がりません。
それどころか、家族の負担を上げる施策が進んでいて、国の負担を減らすということになりました。
どんどん僕たちの思いと離れていきますね。
介護士の意識の低さ
介護士の意識の低さは年々下がっている気がします。
プロ意識とか言いたい訳ではなく、ビジネスの意識です。
結局、低賃金だと感じ、騒いでいるのは介護職のごく一部です。
個人的には、もっと騒いだらいいのにって思っています。皆で団結して騒げば変わるかもしれませんしね。
ただ、そこまでの自信を持てていない人が多いです。
業務独占している職種だと、「医者」「弁護士」などですが、これらの職種は替えがきかず、特別感がありますよね?
そういった職種は「先生」と呼ばれます。
では、介護職ではどうでしょうか?
自分たちのサービスに価値を感じて値段をつけられますか?
自分の仕事を時給で考えたり、事業の収益にどれだけの価値を見いだせているか説明できますか?
なかなか、いないんですよね?
自信を持てない介護士は次のことを意識してほしいと思うんです。
- 介護の仕事を続けていることそのものが価値
- 事業所を存続させ、地域に貢献できている
- 自分たちがいることで、利用者やその家族の生活を支えられている
ここまで言い切って、思い込んで意識を上げたらいいんですよ。
そうすることで、市場価値は今よりも上がりますので、給料面も改善されるのではないでしょうか?
▼自信がない方はこの記事が役に立つかもしれません▼
介護士の給料が上がらない根本的な理由
そもそも儲けの出る事業ではないということです。
ビジネスモデルとしては最悪なんじゃないかと思います。
お金の流れを考えればすぐにわかるのですが、そもそもそこを考える介護士って少ないんですよ。
正直、稼ぎたいなら別の仕事をするべきだと思います。
介護の仕事が出来るのならどんな仕事もできるはずです。
介護士の給料は上がらないのか
僕が介護の仕事についたのは介護保険が始まって間もなくの頃でした。
当時は夜勤回数も多く月8~10回は当たり前の老健施設でした。
その当時の給料が、介護福祉士で総支給23万円前後。
現在は、処遇改善加算などの施策も含め、介護福祉士だと総支給26万円程度かと。
およそ3万円位の違いを体感しています。年間で考えると36万円です。
時代の移り変わりもありますが、低賃金には変わりないですね。
介護士は上がってきていますが、僕のような相談員は対して変わらないんですよ。
よく比較されるケアマネジャーもほとんど変わっておらず、近年は介護士がケアマネの給料を超えてきています。
介護士の給料を簡単に上げる方法
事業所によっても給料の差があるようなので、今の給料に納得できないなら転職するのも一つです。
その時の注意点として転職先は自分で選ばない(直接面接しない)ことです。
給料面で不満があることを、面接時に提示できる人はよいのですが、多くの方はできないでしょう。
ならば、転職支援サービスを使い他の人から伝えてもらうと良いですよ。
低い給料を提示されて、泣き寝入りしているようでは、良いサービスを提供できないので、誰も得しないのです。
僕の後輩は、転職だけで年収80万アップしていました。
同じ所で働いていても、年収80万(月6万5千円ほど)を上げるのは不可能に近いのではないかと思います。
介護士の給料には妥協が必要
そもそも給料を上げるまでのお金の流れがないので、給料アップを期待してしまうと辛くなります。
なので、介護の仕事はある程度の給料で妥協が必要かと思います。
▼妥協したくない方はこちらの記事をどうぞ▼
給料を上げることを割り切るか辞めるか
個人的には辞めてほしくはないのですが、人生かけてやる程の見返りがないのも事実です。
それでも少しずつ給料は上がってきていますので、もしかしたら今後跳ね上がることはあるかもしれませんね。
ただ、現状給料だけ上げてしまうと、お金のことだけで介護職に就く方が増えてしまいますので、指導や教育も大変になると思います。
現介護士がプロ意識を持って団結できれば、もう少し良い方向へ流れるかもしれませんね。
給料を上げるには転職支援サービスを活用
介護職が給料を上げる方法は現状難しいと言えます。
しかし、上場企業の参入でお金の動きは変わってきています。
自分でどうにかできる状況ではないので、転職支援サービスを活用することが給料アップの近道になるでしょう。
転職支援サービスは、介護の経験者や有資格者がエージェントとなり、あなたにあった事業所を探してくれるのでおすすめです。
ぜひ、自分にあった職場で給料アップを目指してみてくださいね。
介護は突然きます。
皆そうやって相談にくるんで間違いない。
だから知って欲しいことをまとめて書いちゃいました。
悩みはだいたいみんな一緒。
少しでも参考になれば嬉しいな。