認知症対応を行うにあたって、認知症のことを理解していないと困難なことは多いでしょう。
介護士は経験が多いことで、認知症に対して無難に対応しているように感じますが、実際は理にかなっていないことも多く、一歩間違えたら虐待を誘発してしまうのでは?とハラハラすることもあります。
認知症の勉強をしてテキスト通りの対応が必ずしも適切な認知症ケアとは限りません。
家族も介護士も認知症に敏感になりすぎているように感じます。
認知症ケアはすごく難しく、情報を集めデータをとって総合的に支援するものです。
認知症対応をもっと簡単に考えてみよう
認知症ケアと聞くとどうしても難しく考えてしまいます。
しかし、認知症にとらわれすぎてませんか?
認知症になったことがない僕たちは「認知症」を本当に理解することなんてできないでしょう。
確かにそうだけど、じゃあずっと理解できないままですか?
理解はできませんけど、想像はできますよね?
確かに想像はできますけど、それはあくまでも自分の経験だけの話なんで
認知症の人とは感覚が違うと思います。
そうですかね?続きを見てみましょう。
認知症は特別ではない
自分たちの価値観は認知症の人達には通じないのでしょうか?
そもそも、自分の価値観は他の人と一致していますか?
家族ですら一致していないのではないでしょうか?
僕の子どもは、僕の好きなエリンギを嫌っているんです。
めっちゃおいしいのに・・・まぁそんなもんですよ。
認知症だから価値観や考え方が合わないんではなくて、自分の価値観なんてちっぽけな世界でしかないんですよ。
相手の立場に立って考える
これは、僕の研修で必ず行う内容です。
相手の立場に立って考えるというのは、簡単なようで難しいものです。
でもこれができたら、認知症対応だけではなく、全ての人に対して良いコミュニケーションができます。
座っていられずすぐに動き出す人
介護しているとじっと座っていてほしいタイミングはあります。
抑制したい訳ではなく、お食事前後とか寝る前のバタバタしている時間など様々です。
でも、じっとしていられない方がいて、転倒してしまわないかドキドキものです。
認知症の方はなぜゆっくり座っていられないの?
きっと自分自身に置き換えて考えてみたらわかりますよ
例えば、役所で手続きをしていて、受付後「こちらの番号札を持ってお待ちください」なんてことを言われますよね。
そうすると、椅子に座って待つ訳ですが、この時周りに人はおらず自分一人でいるとします。
ここで質問です。あなたは動かず何分待てますか?
僕の研修に参加された人の統計では15分~30分です。
たまに5分とか答えるせっかちもいますが・・・
その間、僕たちは役所で受付を済まし、その結果を待っていることは覚えています。
それでも15分~30分しか待てないのです。
認知症の人は受付をしたことを忘れているかもしれません。
そしたら、座って待っていられないのも仕方ないのではないかな?と思う訳です。
「なんで待っていられないの?」ではなく、「そりゃそうだわ」ってなりませんか?
トイレで食器を洗っているおばあちゃん
トイレを開けたとき食器を洗っているおばあちゃんがいたら、何て声を掛けますか?
あぁ~~~~!!トイレで洗ったら汚い!!!
となるのが家族の方です。
「何してるの?代わりますよ」
となるのが介護職です。
では相手の立場に立って考えるとどうでしょう?
この方は食器洗いを代わってほしい訳ではないと思います。
一番掛けてほしい言葉があるはずです。
なんでしょうか?
おそらく「ありがとう」ではないでしょうか?
確かにそうかも。洗い物してて怒られたら嫌ですもんね。
「ありがとう」は伝えても、僕たちはトイレで洗い物をしてほしくないんですよね。
どうにか止めてほしい訳なんです。
次はなんて声をかけましょうか?
想像してほしいのですが、トイレで洗い物をしているということは、中腰か膝をついて洗っていることでしょう。
なので、次に掛ける言葉は
あっち(キッチンやシンク)の方が洗いやすいですよ
ではないでしょうか?
代わりましょうか?は本人の役割を奪ってしまう事になるかもしれません。
「認知症の人は忘れてしまうから、いろんな事ができなくなる」こう言われているのは間違いです。
感情は残りますし、全てを忘れている訳ではありません。
毎日接していれば、顔も覚えてくれますしね
また、トイレで食器を洗っていたおばあちゃんはどうでしょうか?
認知症というものを先に考えてしまうと「認知症だから仕方ない」と片付けてしまい終わってしまマスが、この人は何を忘れてしまったのでしょうか?
「ご飯が終わったら食器を水のある所で洗う」という流れがあります。
この流れからは何一つ間違っていませんし、忘れていないんです。
唯一、「水のある所」を「トイレ」と解釈をしただけなのでしょう。
では、洗いに行く前に、キッチンに誘導してあげるだけで解決してしまうのではないでしょうか?
イライラしているおじいちゃん
便秘は女性に多いですが、時には男性も便秘になりますよね。
例えば、3日便が出ていないおじいちゃんがいたとします。
3日目、一日中お腹が痛いし、食欲もない状態です。
そんな日を迎えた時、僕たちは「あ~3日前から便が出てないからなぁ」と思い返すことができます。
では、このおじいちゃんはどうでしょうか?
3日前まで遡って覚えているのでしょうか?
覚えていないでしょうね。
でも、このおじいちゃんは急にお腹が痛くなるし、食欲もない状態です。
僕たちはそんな状態になったらどう考えますか?
理由のわからない腹痛は不安だから、病院に行きます
病院に行って医者に診てもらおうと考えるのが普通ではないでしょうか?
ではすぐに医者に行かせてもらえるのでしょうか?
答えはNOです。
だって、僕たちからすればただの便秘なんですから。
でもおじいちゃんは違います。
もしかしたら重病なのかもと考えているのです。
それは、一大事ですよね。
イライラして当然なのではないでしょうか?
相手の立場に立つと見えてくるものが変わる
認知症になったことのない僕たちにはわからないことや苦しみはたくさんあると思います。
僕たちはできるだけ、その気持ちを理解しようと努力しないといけないと思います。
できることは、想像しかありません。
絶対正解ではないでしょうが、絶対間違っているとも限りません。
いろんな想像を繰り返して、いろんなアプローチを仕掛けていくのが介護の仕事。
トライ&エラーを繰り返し、最適を見つけるのです。
まとめ
家族や介護士はすぐに正解を出そうとします。
本人や介護する側のベストな対応を考えてしまうのです。
しかし、そんな簡単に見つかるものではありませんし、日々変化していくものです。
なので、変化に合わせ、ベターな対応を繰り返す。
ベターの積み重ねが、本人にとってベストになるのではないでしょうか?
日々代わる状況を理解し、相手の立場で対応する。
介護はクリエイティブな仕事ですよね。
介護は突然きます。
皆そうやって相談にくるんで間違いない。
だから知って欲しいことをまとめて書いちゃいました。
悩みはだいたいみんな一緒。
少しでも参考になれば嬉しいな。