「特養の入所申し込みはしたがいつまでたっても入所できないんです。いつになったら入所できますか?」
このような相談を良く受けます。
やっぱり家族の方からは人気のある特養なので、早く入りたいのでしょうね。
僕の印象ですが特養って介護施設の中では、王様って感じで勝手に申し込みが増えていくのでうらやましい。
では5つの理由いきましょうか。
単純に待ち(待機)が長い
特養の特徴は、何と言っても「終の住処」として利用できることでしょう。
要介護3以上の方であれば申し込み可能です。
特段、医療が必要な状況でなければ、看取り介護も受けることができます。
その為、家族からの依頼は多く待機者が増えてしまいます。
狙い目は新規オープンの施設
新規オープンの施設では、オープン前に200件の待機がでたりすることもあります。
そんなに多いと入れない んじゃないですか?
最近は、事務作業の簡略化によって印鑑は必要ない場合があります。
また、全ての人が順番を待っている訳ではなく、他の施設にも申し込みを出していて入所が決まった人や、ご逝去された方もおられますので、申し込み数分待つ訳ではありません。
また、順番に案内する訳でもありませんので、とりあえず申し込みはし続けましょう。
特養に空きができるということは誰かが亡くなったか、重体化して退所されたかがほとんどです。
それを望むことはできませんし、操作することも不可能なので、入りたい施設があるのであれば、気長に待つしかないでしょう。
利用する方が男性
施設というのは男性の利用を嫌う傾向にあります。
男性は女性よりも体格が大きいことが多く、介助量が増えます。
また、現在の高齢者にあたる方は、「男は外に出て仕事をする。女は一歩下がって見守るのが当たり前」みたいな時代を生きてこられています。
その為、頑固で短気な方が多いです。
また、攻撃的であったり、女性職員にセクハラ行為をはたらいたりと対応が困難になることもしばしば・・・
そんな方が、終身までいるとなると職員の負担も多くなりますので、受け入れしないこともあります。
また、そもそも男性の利用希望が少ない傾向にあります。
達成できなかったらどうすればいいんですか?
気にしなくて大丈夫です
今の高齢者世代は家事のできる男性が少ないんですよ。女性が倒れたら男性は生活できなくなってしまうんです。なので、女性の利用申し込みが増えるんです。
また、女性の方が圧倒的に社交性が高い傾向にあり、男性は他者とは目も合わさないなんて人も少なくありません。
施設利用が始まった際、女性はそれなりに楽しみを見つけていきますが、男性は帰りたいと家族を困らせるケースも多いです。
というか施設利用を強く拒否する傾向にあります。
利用希望は女性が多いので施設側は女性のお部屋を多めに設定します。
だいたい男2〜3:女7〜8といった割合でしょうか。
今は個室の施設が増えてきてはいますが、申し込みの傾向や準備する部屋の割合は大きくは変わらないです。
結果、男性が利用したい場合は少し不利になります。
本人の介護度が要介護3
申し込み基準の要介護3ですが、実は要介護3では入所判定で不可となる場合があります。
特養の加算の一つ「日常生活継続支援加算」を取得するために、要介護3の入所を少なくするのです。
この加算をとる為には、いくつか要件があるのですが、一番わかり易いのが要介護4又は5の方が70%以上というものです。
100人定員の施設であれば、70人以上ですね。
てことは、残り30人以下・・・少なっ
3割未満の受け皿ということなので、これはなかなか狭い門ですよね。
本人の状態
要介護4又は5であってもなかなか入所できない。
それは、ご本人の状態に関係している可能性が高いです。
要介護度が高いという事は介助する場面が多いということです。
排泄の介助や、入浴の介助が必要なことはそこまで重要ではありません。
重要な介助ってなんなんだろう?
ズバリ、食事介助です!!
食事の介助は基本の3大介護の一つではありますが、排泄や入浴と比べて、時間がかかります。
また、一人一人個別での介助が必要になります。
昔は5人ほど並べて1口ずつ順番に口に入れていくなんて介助もありましたが、現在では、評価されるようなものではありません。
食事に介助が必要な人が多いと業務がかなり圧迫します。
食事の介助は1人だいたい30分前後かかります。
では、100人定員の施設で30人食事介助が必要となるとどうでしょうか?
30分×30人で900分です!
介護士が10人いても一人の介護士が90分、つまり1時間30分かかるのです。1時間30分かかる食事介助が1日3回あると考えると4時間30分です。
10人でそんな時間が・・・介護の仕事って大変なんですね。
そもそも、食事時間に10人なんて人数揃いませんしね。多くて5~6人程度でしょう。
食事だけでこれだけの時間がかかると、他の介助ができません。
食事介助が必要な場合はハードルが高くなります。
他にも、医療的ケアが必要な方も判定に引っかかり易いです。
例を挙げると「喀痰吸引が必要」「胃ろう」「尿道カテーテル」などです。
多くの特養は、夜間帯に看護士がいません。
その為、医療的ケアが必要な方を受け入れて、夜間にトラブルがあると対応ができないのです。
このような理由で敬遠されがちです。
家族の問題
最後に、家族の問題です。
実際利用されるのはご本人ですが、その家族は判定していく中で重要なポイントになります。
- 「他の施設と揉めたことがある」
- 「何かの中毒者」
- 「犯罪歴がある」
- 「疎遠」
- 「所在が遠方」
- 「興味関心がない」
- 「興味関心が極端にある」
- 「偉そうに振る舞う」
- 「ルールを守らない」 など
このようなご家族の場合、ご本人に問題がなくても断られたり、敬遠されたりしてしまいます。
介護の仕事は一般の方が考えている以上に事務的な作業が多いです。
その業務に圧迫されるなんてことは日常茶飯事なのですが、それに加え家族にまで時間をとられるとなると、ストレスは想像を超えてきます。
特養は長い付き合いになることが多いので、家族の様子も面談時に見られているということを意識しておいた方が良いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
特養になかなか入れないと悩んでいる方に少しは納得していただけたのではないでしょうか?
当てはまった方は嘆いてしまうかも知れませんが、そんな方の為に希望の特養に少し入り易くなる方法をお伝えします。
まず、希望の特養を運営しているグループ施設に入る又はサービスを利用するのです。
具体的には、
- グループのケアマネと繋がる
- デイサービスに通う
- ショートステイを利用する
といったものです。
やはり知っている方が困っている姿を見ていると、どうしても助けたくなるのが介護職なのです。
待っているだけでは駄目な事もあるので、情に訴えかけてみましょう。
介護は突然きます。
皆そうやって相談にくるんで間違いない。
だから知って欲しいことをまとめて書いちゃいました。
悩みはだいたいみんな一緒。
少しでも参考になれば嬉しいな。