特別養護老人ホーム(以下、特養)は俗に「終の住処」と呼ばれており、一度入ると亡くなるまで入れる施設という認識で人気の施設となっています。
在宅生活に限界を感じ、特養に入れるとなると一気に肩の荷がおり安心される家族を何人も見てきました。
これでもう安心ね。
良かったですね。でも介護の全てが終わった訳ではないですよ。
退所することもありますし・・・
えっ!看取り介護があるんじゃないの?
最期まで大丈夫と思っている方は要注意です。
特養の性質上、全ての方が最期まで入れるという保証はありません。
では、どのような事が起こると、特養で最期までいられないのでしょうか?
今回はこれについて解明していきます。
特養はあくまで介護主体の施設
特養で働く職員の職種は、介護士7割、看護師2割、その他(生活相談員、ケアマネジャー、機能訓練士、管理栄養士、事務員など)が1割というような割合です。
ほとんどが介護士です。
また、介護士以外の職種は多くの施設で日中のみの勤務です。
その為、看護師が夜間帯にいないのです。
夜間帯に医療ケアが必要な方は、特養の対象者から外れてしまうことがあります。
- 夜間帯にの吸引が必要
- 朝食に皮下注射が必須
- 酸素の療養でコントロールがいる など
利用者が最期を迎えようとしているときは、酸素の導入が必要な場合もあり、介護士だけでは対応できないことがあります。
入所中に長期間(事業所ごとに異なります)の入院にあった場合は退所を迫られることもあります。
長期間入院後、医療ケアが必要になって退院されることもありますが、上記の理由により、再入所できないこともあります。
看取りケアとは
看取りとは「回復の見込みが無い」とドクターが判断した方に対して行う、緩和ケアです。
治療は必要最低限で行い、普段の介護+声かけを増やしたり、痛みを和らげたりするケアのことを指します。
最期の時を安心して過ごしていただけるように対応します。
その為、家族からは「何もしてもらえていない」というクレームを受けることもあります。
また、家族から急に病院での治療をしたいと希望されることも少なくありません。
看取りケアができない特養もある
「特養=終の住処=看取り」と思われているかもしれませんが、全ての特養が看取りケアを実施している訳ではありません。
特養の人員や看護師の配置など、施設によって様々です。
また、各事業所により、できる医療ケアの内容も違います。
利用料金が高くなる
看取りケア中は利用料金が少し高くなります。
厳密には亡くなった日から遡って45日間に加算がついてきます。
何万円も高くなるといったことはありませんが、この事は把握しておきましょう。
看取りケアをする職員はいつ亡くなるかがわからないということもあり、心身ともに疲れます。
その為に、加算がつくのは職員としては納得できるのですが、家族の方で納得されない方もいます。
お金が絡むとややこしくなるもんです。
最期の最期で揉めるのは僕たちも嫌なんですけどね・・・
まとめ
特別養護老人ホームに入れるとやっぱり安心してしまいますが、一筋縄ではいかないこともあります。
各事業所によっても方針が違うので、不安な部分は事前に確認しましょう。
終末期にバタバタするとなると家族の疲れもピークを迎えます。
その時に焦って答えを出さなくても良いように、本人から事前にどういう最期を望むのかをしっかり確認しておくことをおすすめします。
なかなか聞きにくいと思いますが、終末期はもっと聞き難いでしょうし、聞けない可能性も高いです。
本人の為にも事前に確認しておきたいですね。
介護は突然きます。
皆そうやって相談にくるんで間違いない。
だから知って欲しいことをまとめて書いちゃいました。
悩みはだいたいみんな一緒。
少しでも参考になれば嬉しいな。