近年、外国人介護職員が増えてきましたね。
介護業界の人手不足は深刻で今後も外国人介護職員が増えることは予想がつきます。
日本人介護職員はこの先どうなるのか?介護職員の大半が外国人介護職員に変わってしまうのか?と不安に感じているのではないでしょうか。
今回は、外国人介護職員の増加により、介護施設がどのように変わっていくのかについて深掘りしていきますので、是非、最後までお付き合いください。
賃上げ競争が起こる?
先日、民間企業である「SOMPO」グループが中堅職員の年収を100万円上げるというニュースが話題になりましたね。
日本人介護職員で中堅レベル職員の離職を減らすことが目的とし、1,000人を対象とされました。
介護は、儲けがでにくい事業で、SOMPOという大きな企業でもそれは同じはずなのですが、かなり大胆な動きだといえます。
この事例は、今後の介護業界の賃上げ競争が起こり、職員の奪い合いが起こるのではないかと推測できます。
賃上げ競走が起こると外国人介護職員を頼ることに
日本人介護職員の獲得に賃上げ競走が起こることで、人材の奪い合いが始まります。
こうなると資本がある企業が有利になるのは明白ですね。優秀な職員はお金のある企業が引き抜くようなイメージです。
そこで、注目されるのは外国人介護職員です。外国人介護職員は日本人介護職員と違い、安い給料で働いて貰えます。
また、すぐに退職を考える日本人介護職員よりも、外国人介護職員は定着しやすいので、雇う側も安心できます。
出入国管理法改正により2019年から国の目標として5年間で6万人の外国人介護職員の確保を掲げています。
このようなことからも、外国人介護職員の需要は高く、安定して介護現場で働いていくのは外国人介護職員が多くなっていくのが分かります。
欧米先進国の介護施設はどうなのか?
日本人を中心に介護施設を担おうと考えているのは日本だけだといいます。
欧米先進国では外国人介護職員を導入し、多国籍で運営をおこなっているのがメジャーだと言われています。
外国人の労働者だと、自国民よりも低額で働いてもらうことができるので、運営しやすいというメリットがあります。
日本の場合、日本人だけを集めるということ自体に限界が出てきており、紹介会社や派遣会社などで無理に採用を進めると経営に陰りがでてしまいます。
日本人でマネジメント、現場は他国籍という配置は今後すすんでいくことが考察できますね。
外国人介護職員は安心していいのか?
介護現場が外国人介護職員ばかりだと不安に感じる方も多いと思います。
しかし、「母国の収入が少ない」「先進国の介護を勉強したい」と高い志を持った人が多く、日本人よりも勤勉で優しい方が多いです。
母国の給料と比べると10倍以上の給料が支給されるとベトナムの介護職員に聞きましたよ。
そんなに違うんですね。
200~300万貯金し、母国に帰ると生活水準がかなり上がるようです。
日本人ではこのようなメンタル面には勝てませんよね。頑張って働くだけでも充分、安心できる人材と言えます。
外国人介護職を受け入れるにあたってのメリット
外国人介護職を受け入れるにあたりメリットが沢山あります。
- 人材不足の解消
- 介護職員の離職率の軽減
- 職場の雰囲気が変わる
- 日本人介護職員の意識向上
- 外国人介護職員の特典
- 高齢者側の利典
ひとつずつ掘り下げていきます。
人材不足の解消
一番わかりやすいところですが、日本人で足りない人員を補うことができます。
外国人介護職は、日本人介護職員よりも就労受け入れ枠が狭いため、すぐに辞めることができず日本人よりも長期的に人員を確保することができます。
介護職員の離職率の軽減
人員の確保ができると、介護現場にゆとりが生まれます。
介護職員が一人いるのといないのとでは雲泥の差です。過度にかかっていた職員の負担軽減が望めます。
それにより、既存職員の離職への気持ちを軽減することに繋がるでしょう。
職場の雰囲気が変わる
資格取得を条件に日本に来たという人が多く、資格取得できなければ母国へ帰らないといけない人もいます。
そのため、日本人には少ないハングリー精神があります。
また、朗らかで明るい人が多いので職場の雰囲気が良くなるという効果も期待できます。
日本人介護職員の意識向上
既存の介護職員が指導教育することになるので、介護士としてのスキルアップに繋がります。
また、責任感も生まれ、自分の足りていないスキルの気づきに繋がるという効果が期待できます。
外国人介護職員の特典
母国よりも高い給料がもらえ、先進国の介護を習得できる日本で働けるというのは大きな魅力になります。
外国人介護職を都合よく利用しているような印象をもってしまう人もいますが、外国人介護職員にも大きなメリットがあるのです。
高齢者側の利点
高齢者にとって外国人との関わりは良い印象を持っていないのかもしれません。
しかし、実際にはほとんど影響はなく、可愛がっているような姿を見かけます。
正直、私もトラブルばかりになると思っていました。
慣れない日本語や対応で不快に思う方もおられますが、基本的には外国人介護職員を受け入れ日本の文化を教えるといったことで役割が持て生活が活性化されている方もおられます。
外国人介護職を受け入れるにあたってのデメリット
続いてデメリットをみていきましょう。
- 言語の壁利用者
- 家族からのイメージ
- 宗教問題
ひとつずつ見ていきます。
言葉の壁
どうしてもここは問題となりますね。日本語は世界でも複雑な部類の言語のため、難易度は高くなります。
日本人でも下手な人がいるくらいですもんね・・・
日本人独特の「本音と建前」の文化があるため、苦労している外国人材は多いです。
対策としては、とにかくたくさん声をかけてあげることです。そうすることで、外国人材はどんどん吸収していきます。
たくさん話しかけることで信頼関係もできてきますので一石二鳥です。
利用者・家族からのイメージ
大切なご家族を預ける場所で外国人介護職員が目立つと不安に感じる人は少なからずいます。
数年前に比べると受け入れを快くされている印象を受けますが、やはり不安はあると思います。
また、外国人材が増えることで、「人手不足」や「職場の環境が悪い」といったことをイメージされてしまうこともあります。
解決策としてはあえて前面に出して積極的に関わりを増やすことです。
高齢者と関係性がとれるのであれば、家族との関係構築もできるはずです。関わりを増やすことで、徐々に偏見も解決することでしょう。
宗教問題
インドネシアでは「ヒジャブ」という被り物をする宗派があります。頭に魂が宿るといわれるイスラム教徒が被る布です。
頭を触るのはタブーとされているのですが、そんなことは知らない人は多いのでトラブルにならないように気をつけたいですね、高齢者は特に知らない人も多いので事前に説明をする必要があるかもしれません。
また、お祈りの時間を設けないといけない宗教もありますので、勤務時間の調整も必要になります。
宗教についてはお互いの距離を縮めるためにも少しは勉強したほうが良いですね。知っていれば大きな問題ではなくなります。
外国人介護職を採用している施設の取り組み例
外国人介護職員を受け入れるには、各事業所での努力が少なからず必要です。
全ての外国人介護職員が前述したメリットに合う訳ではないので、取捨選択は必要になります。
私の勤めている事業所では、母国まで出向き家族も含め、面接をしています。費用や時間がかかるのですが、トラブル回避のためと、先を見据えた人選のためです。
また、「介護福祉士養成校」の手配や生活の支援、その後の就職先の確保なども担っています。
外国人介護職員の現状
基本的に東南アジアの人が多く、「ベトナム」「インドネシア」「フィリピン」などの国から来日してきます。比較的日本人と顔立ちが似ているので、受け入れのハードルは低い印象を受けます。
良く勉強し、まじめな勤務態度な人が多く、主になって働いている人も多いです。
もちろん個人差はありますが、そこは日本人でも変わりないのではないでしょうか?
ホームシックになったり、稀に失踪するなんてニュースもありますので、メンタルケアには力を入れていかないと思わぬトラブルが生まれるかもしれません。
日本人介護職員の現状
日本人介護職員は、他に良い条件の仕事が見つかったらすぐに転職してしまう傾向にあります。
新規施設のオープンや好条件の転職支援サイトで次の職場を見つけて転職することが珍しくありません。
現状、一つの施設で継続して働くよりも、ステップアップのためと転職し給料交渉したほうが圧倒的に給料アップしやすいのです。
転職支援サービスがはば広く展開する中、転職を繰り返す勢いが増してきています。
日本人介護職員の未来はどうなるの?
日本人介護職員の中でも優秀な職員マネジメント業務に引き上げ、現場で働く職員を外国人介護職員に任せていくことになるのではないでしょうか?。
施設運営では人件費の増加が深刻で限界に近づいて来ているのです。
介護の現場というのは、「介助ができる」「話ができる」といった簡単なスキルでできるものではありません。
そんな介護現場を外国人介護職員に任せていくには、優秀な指導・教育や管理業務ができる人が上司として定着している必要があるのです。
その為に、今の内から日本人介護職員を離職させないように働きかけ、マネジメントノウハウを習得するように働きかけしていくことが今後を見据えた対応になりそうです。
賃上げ競争に出遅れると取り返しがつかないことも
SOMPOグループがおこなった年収アップの効果はまだ検証できませんが、今後、このような対策を投じる会社は増えるのではないかと思われます。
処遇改善などの給付により介護職員の給料は大きく改善されたと感じますが、正直まだまだ低賃金のイメージは払拭されていません。
このままでは、低賃金による離職は減らないまま、どんどん介護事業所は縮小していくことが目に見えています。
どの事業所もSOMPOグループと同じような対策ができる資金力がある訳ではないので、国として対策を講じる必要を感じます。
事業所の格差が生まれそうですね・・・
外国人介護職員が施設介護の鍵に
外国人介護職員を積極的に採用し介護現場を任せ、日本人介護職員のマネジメントの強化ができれば、介護施設を継続して運営していけると考えられます。
日本人介護職員は今後を見据えたポジション取り、つまりマネジメントの力や管理する立場に就くことが必要になるのではないでしょうか?
今後、絶対的に増える高齢者と減る日本人介護職員の問題を解決するのは、外国人介護職員をどのように採用し教育できるかが課題となりそうですね。
介護は突然きます。
皆そうやって相談にくるんで間違いない。
だから知って欲しいことをまとめて書いちゃいました。
悩みはだいたいみんな一緒。
少しでも参考になれば嬉しいな。